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市川櫻香の日記


by ooca
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櫻別会・寸景

春の昼下がり、少し肌寒い中、鶴舞公園の西、古書店の並ぶ道を一本南に入り、すぐに、中部邦楽教室の看板を見つけます。八重桜が満開の細道は、櫻の花筏が目に楽しく、訪れる人を華やかに彩りました。この日を準備した、解説進行の阿部一恵、受付、成田千恵子、お茶の御奉仕に、水谷千左、主宰の私、市川櫻香、舞台後見、市川りき、により、日本の伝統文化芸能を「担う心意気を持って」様々な顔ぶれの方々をお迎えしました。
解説の準備は、約1ヶ月弱前から始まりました。今回取り上げました「常磐津、松島」は、西行から芭蕉、そして黙阿弥へと、この作品の成り立ちに際し、その道行を注目できました。興味を持って皆さんに受け止めて頂くことができました。2時から4時までの短い時間ですが、「今」というものの事のほか重いこと、また、重要なことを皆さんと共有できたと思います。過去、現在、未来、時の流れの中で、私達は今を選んで、今日、櫻別会に出会ったと感じました。
一瞬の繰り返しの今だからこそ、深くありたい。深い今の積み重ねの永遠を得たいと、そんな思いを持った櫻別会を開催できました。
櫻の花を落とした櫻茶に始まり、終演を、宮城県のお菓子とお煎茶を飲みながらの座談会で幕を迎えました。
松島の上演については、座談会で、今だからこその熱いご感想を頂きました。「踊りを見ているうちに涙が出てきました」何人かの方からお聞かせ頂きましたことを、深く心に刻みました。なぜならば、それは、震災にあわれた皆さんに送る思いだからです。
思いの力を、被災された地と、人たち、おこがましいことですが、私達の日本の将来に届けたいと思いました。本日の小さな見者は、八歳の藤波俊人さん、お母さまと参加されました。大人も子供も一緒に、情緒に向き合う時間と空間を持つことを大切に思いました。お手伝いに参加した若い方も、今日の感覚の積み重ねを大切に感じてほしいと思いました。小さな入り口の細道には、櫻の花びらのお見送りで「春風の花を散らすと見る夢はさめても胸のさわぐなりけり」西行。有り難うございました。
by ooca | 2011-04-25 00:36