苦艾(にがよもぎ)
2015年 04月 12日
京都コンサートホールへ。馬場駿吉氏の連句半歌仙「苦艾」頭と心と体になじませて。高橋悠治氏の音楽、詠み人片山九郎右衛門氏、京都フィルの演奏、指揮齋藤一郎氏、定期公演。苦艾の前に、水野修孝氏の「ヴィオラと弦楽オーケストラのための協奏曲」西洋的な境界を意識外にさせる静寂と空霊。
時を共有する音の魂を受け、本題門戸に静ず静ず招かれてゆく感。一瞬をいとおしみ、永遠を。
馬場駿吉さんからのメッセージ(京都フィル第198回定期公演パンフレットより)
〔苦艾といえば70%の酒精分を含むリキュール「アブサン」に特有の香味をつける植物。その強い苦味は苦悩、辛苦の隠喩として聖書にも数ヶ所登場する。一方適量ならば強壮、駆虫などの薬効作用を現す二面性をもつ。その苦艾で自ら染め、織り上げた紬の衣に身を包んだ志村ふくみさんに出会ったのは2年半前のことー澄んだ薄緑色そのままが爽秋の微風のようだった。アブサンに添える魔性をこの織物に宿す聖性にスイッチする仕掛けーそれが苦艾としてこの世に存在する不思議さに胸打たれ、短い言葉になった〕
苦艾ー馬場駿吉独吟半歌仙より(抜粋)
爽やかに着て苦艾染(にがよもぎぞめ)の衣(きぬ)
澄みし月ほのと赤らむ
ただ人の住むが古城を守る術(すべ)
一角獣をひたすらに恋ひ
八十路なほリルケ詩集を手放さず
絶滅を危惧されしゆえ檻暮し
誰にも明日のこと知り難く
夢の余白に背音がかすか
一瞬も永遠のうち飛花落花
時空の糸を織り成して春
by ooca
| 2015-04-12 13:08
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