市川櫻香の日記


by ooca
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もうすぐ、公演です。歌舞伎「義経千本桜」四の切の場面を、能舞台で上演します。
歌舞伎ファンであれば、大変人気の高い演目ですので「あぁ狐の出てくる場面ね、狐が舞台のあちこちから飛び出したり、最後は宙乗りの演出もあったりのですね」と皆さんに親しまれて、1747年初演より、今日まで上演されています。
昨年私共「むすめ歌舞伎」は、勧進帳を能舞台で上演させて頂きました。今年の上演も能舞台を拝借して、歌舞伎の上演と致しました。それは、「勧進帳」で能舞台の心性さに、私達に与える影響の大きさを感じることができたからです。
通常の歌舞伎に見る大道具はない、能舞台の空間は、日本の心を受け継いだ神聖な空間です。その場に、ドラマを現していきます。何もない空間に見えますが、そこに深い充満した力があるようです。こちらの「気」「力」それは「心」「情」と結ばれ、こちらの身体がなんとか立っていられた時、これほど深くあたたかなものはない感覚に、言葉に表すことのできない力を頂いたように思いました。
そして、その戴いた力をお借りし、今年も、歌舞伎の古典義太夫狂言「義経千本桜」を上演させて戴きたいと思いました。これはかなりの挑戦、不安と新たな発見へ、胸がときめいています。

「四の切」の場面は、義経記でたどれば、歌舞伎では「勧進帳」の前の場面です。以前、サントリーさんのご協力で、「勧進帳」の劇の経過を、ワインにたとえて楽しむ催しを致しましたが、あぁいったことは、大変いい経験なんだと思いました、身体を使うことでより感情が記憶に身体ごと、根付いていくことを感じます。
確か、あのワインの最初は、琥珀色の白ワインで、兄、頼朝に追われる義経の涙と琵琶湖の水面を想像して皆さんと楽しみました。四の切も、ワインにたとえると、勧進帳に続く前の場面ですから、琥珀の白ワインは同じですが、少し野性味のあるものでしょうか。(また、歌舞伎でワインの機会がありますように)

まず、この「義経千本桜」の初段、大内の場面で、四の切に関わる「初音の鼓」のくだりがあります。(「義経千本桜」は、とても長い狂言です。全段はなかなか通して見られません。)
義経は平家を滅ぼし、後白川法皇に復命、そこで、義経がかねて所望する「初音の鼓」を与えられ、鼓を打つにかけて、頼朝を討てと謎をかけれれます。

後さまざまの場面を経て、「四の切」の場面となります。
義経は、私達の目線となっていることを、今回のお稽古に入って理解しました。劇最後に、義経は語ります。情を求めていきながらも、血を分けた兄から追われる自身に、自身にかかる「業」を深くさとります。逃れられない自身の運命ではあるのです。が、義経は、ここで、「鼓の、皮の子である」と言う狐から心を動かされていきます。なにがしかの気づきを得ていくきっかけ。それは、これまで人間に姿を変えて、鼓の皮にされてしまった親を慕う狐です。鼓につきそってきた子狐の深い<情>に心を動かし、自身を振りかえります。
そして、その狐に「初音の鼓」を与えます。義経は、多くの人に愛されてきました。彼の運命には「情」(じょう)と心をどのように育て得ていくのかがかけていたのでしょうか。この場面の後、「勧進帳」で、義経は弁慶に深い情を表します。100年後に作られた「勧進帳」ですが、つながっていくのですね。
義経の肉親の愛は、合戦という、社会の荒波の対岸。または外にあったわけです。この狐との出会いは、彼の心に、疑似ではあるのですが、情との交わった大切な場面なのではないでしょうか。ファンタジックなお告げのような感じでもあります。

倫理、道徳などが、「情」を元に成り立つことは、頭ではわかるのですが、自身の利益を優先する時代に、どう情や心といったものを、先頭にした社会を作っていくのでしょうか。弱い人や、情のある人の手の裏を返すような事件がお年寄りを苦しめています。政治家の皆さん教育の皆さん、様々なところで、何事も先頭を「心」「情け」と決めて物事をすすめていく、その為の「力」「気」を鍛えていくことこそ、利益とする社会になればと思うのですが。

歌舞伎、身体表現は、身体を大きく使い、強く気をためることを、根気よくしっかりマスターすることが大切です。その時に「情」というものを大切にしていれば、そのことがその人の魅力として表れるように思います。

私も、一生懸命「気」を入れ歩みます。。
気づける心も、歌舞伎はつくります。有り難いです。
公演たくさんの人に見て戴きたい。
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by ooca | 2012-10-17 14:01