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市川櫻香の日記


by ooca
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瀬戸の風景、庭師中井さん

瀬戸の風景、庭師中井さん_f0228641_20095651.jpg

残されたものから何を考えるかは人それぞれです。
今年度、私達は日本の文化遺産を通じ、今私達にとり問題になっている普遍的概念に向かうことになりました。そのことはおそらく真理の探求に導かれたと言えます。
文化遺産に何らかの効用があり、それが、社会的、道徳的ー等とすれば、展覧会のつくり手達の、真理の探求によるものです。そして、参加した人たちに、何をもたらすか、真実を知ろうとするものに何を与えるか。そのことが結果となりました。しかし、それは目的では決してありませんでした。
学問は知識によって真理を探求しますが、その方法では味わえない感情によって真理を探求、それを形にし結果的に生み出されていく。無数の感情と、地域文化遺産への探求によりもたらした展覧会となりました。
とはいえ、発端は、地域を愛した画家北川民次の持っている抽象的観念に脈を通わせていくことから始まったわけです。
中井さんには、インスタレーションをお願いする経緯があり、作品の参加をお願いできたことは大変深い意味を得られました。そこには、中井さんの『道』というものへの敬意があり、それは私達にとり、最も大切なことでした。
中井さんは、京都滋賀を中心に庭師を本業にしながら美術活動を行っています。(2010年瀬戸内国際芸術祭に出展)
作品は、直接的な訴えを排し、人の心や目を養い、気の格が高まっていくものでした。
私達の国が、中世末期、美に形を見出だし、道の思想を実践、造園や演劇(能楽)その他、日本の美の感覚を、特質した形、思想に仕上げていったその土台が中井さんの作品の意となり、形を創作していました。
まず理念があり、現れた形といえます。しかし、庭師の体は、もの作りの形を、理念をうち超え、体が反応していくものなのです。
ものと理念は、そこでひとつに、一体となっているのです。
真実の探求は、感覚でもできるものです。むしろ感覚が、頭で考えるより勝っていると言えます。何も決めなくても、そこで体が教えてくれます。道に敬意を持つ者の得意な身体と言っても良いでしょう。

中井さんは、瀬戸を歩き、考え、北川民次に惹かれていったように思いました。

お疲れさまでした。
有り難うございました。
by ooca | 2019-08-03 20:09 | 未分類